そして、伝説へ。

運命的としか思えない巡り合わせで、8月29日発売のDVD「H -香山聖-」を8月25日にゲットしたぼく。しかも握手&サイン会のおまけ付き。今までの善行が報われた想いです。ぼくは自他共に認めるAVファンですが、実はAV女優本人には一度も会ったことがないのです。以前渋谷のハンズの前で、元ホームレスというスーパーヘビー級の過去を持つAV女優「結城杏奈」を見かけたことはありましたが、それもすれ違った程度。本人をまじまじと眺めしかも握手なんて、考えるだけでも期待で胸が膨らむ、というより、チンコがパンパンに膨らみます。ちなみに結城杏奈も相当かわいかった。ジャケ写なんかで見る分には、ぜんぜん気にならなかったんですけどね。興味ない女優であんなにかわいいんだから、萌える女優だったら……。

「喘ぎ声でかい」
「攻め好き」
「手コキ」
「大発射」
もはやぼくの中では、蠱惑的としか言いようのないキーワードで構成されているヒジリン。しかも、その「手コキ」で「大発射」させたゴッドハンドと握手できる。考えるだけでも萌えます。


その日の深夜、家族が寝静まったことを確認し、ヒジリンの作品「H -香山聖-」を恐る恐るご開帳しました。
「喘ぎ声でかい」
「攻め好き」
「手コキ」
「大発射」
悪霊達が提示したキーワードは言い得て妙でした。しかし、それがすべてであって、決してそれ以上ではない。監督が女優のタレント力を生かし切れておらず、ヒジリンの魅力の1/100も伝えきれていません。作品としては平々凡々なものです。収録された2タイトルを見終え、何か怒りにも似た感覚を覚えました。同時にぼくはどこか郷愁にも似た不思議な気持ちに包まれていました。この気持ちは何なんだろう? 何とも言えない居心地の悪さを感じたぼくは、「H -香山聖-」を再び最初から見直すことにしました。

悪霊たちの話題のメインでもあった「手コキ大発射」のシーンで、ヒジリンは痴女よろしくあられもないセリフで男優を言葉責めます。カッコ内は、当然ぼくのマインドヴォイスです。

「こんなになっちゃって」(この娘から感じる奇妙な感覚はなんだ……?)
「18歳の娘にいたぶられるのはどぉ?」(しかし、かわいいな……いたぶられたい)
「イキたいの?………まだ、ダ・メ」(イカン、この気持ちの正体を探らねば!)
「どうされたいの、自分でいってごらん」(えっ?………じゃ、じゃあ手で…)
「うつむいてないで、顔を上げて言ってごらん…」(………顔を上げて?)

どこかで聞いたセリフだった。
あいまいな記憶が、像を結ばない。
ぼくはそのシーンを再び見直した。

「うつむいてないで、顔を上げて言ってごらん…」

もう怒りはどこかに行っていました。
徐々に懐かしいようなあたたかな気持ちが蘇ってきます。

「顔を上げて言ってごらん…」

あの時、朦朧とした意識の中に響いたあの言葉。
ぼくを姿なき悪霊達の幽冥*1から解き放った、あの声。

「顔を上げて…」

その声は、あの時に聞いたものと瓜二つ。
ぼくの幻聴だったのか、それとも……

奇妙な感覚を残しつつ、ぼくは8月30日を迎えるのでした。


【つづく】

  • 今日の1曲

Suburban Knight / Midnight Sunshine

*1:「かくりよ」と読む。人々が死んだ後、霊魂が帰る場所とされている