rekoba2004-02-20

先日、阿部和重「シンセミア」を読みました。
800ページ×上下巻。約1600ページにも渡る大作です。


阿部和重の作品は、「インディビジュアル・プロジェクション」以来。
興味がなかったわけじゃないんですが、なんとなく読むタイミングを逸しておりました。
今回は友人に勧められたのと、やたらと話題になっていたのもあり、
久方ぶりに彼の作品を手に取ってみた、というわけなのです。


物語は、著者の故郷でもある山梨県東根市神町を舞台にした群像劇。
神町に住む複数の一族にまつわる話なんで、登場人の数は半端ない。
しかも、誰ひとりとしてまともな人間がいない。
みんな、どっかしらで終わっています。
まぁ、「群像劇」というより「群憎劇」という感じかな。
だから普通、重苦しい物語になるはずなんだけど、
全体としてはユーモア感があって滑稽に仕上がってる。
シンセミアのホームページにある書評でもあったけど、
ぼくはコーエン兄弟の「ファーゴ」を思い出しました。
あと、ジェイムス・エルロイ諸作のダークさも感じたなぁ。


個人的にたまらなかったのは、変態警察官“中山正”。
彼は動きは、最初から最後までクールすぎました。
イメージは、昨日の日記に写真をアップしたスタンコビッチ
なんか彼、最近髪が伸びてすごく性犯罪者っぽいんですよね。
警官の制服似合いそうだし、なんかああいう巡査いそうだし。
たぶん、スタンコビッチは変態じゃないだろうけど…。


シンセミア」は三部作で考えてるらしく、現在は次回作の準備中らしいです。
テレビ出演時に「次回作は、今年の冬ぐらいに連載を開始したい」と言ってました。
ということは、単行本になるのは何年後………?
少なくとも、20代のうちには読めそうもありませんな。
でも、本当に楽しみです。