rekoba的名盤100選:4枚目

rekoba2004-04-06


Nirvana/In utero(1993、ASIN:B000065EA7


10年前の今日、ぼくは朝の6時から叩き起こされました。
当時高校3年だったぼくの起床時間は7時。
つまり、通常より1時間も早く起こされたワケです。
おまけにその日は高校の始業式。もちろん気分は最悪。
そして、母親が発した次の言葉を聞いて、
最悪を通り越して絶望的な気分になりました。


カート・コバーンって人、死んだわよ」


はじめは何かの間違いかと思いましたが、
CNNニュースが延々と流し続ける「All Apologies」のPVは、
母親の言葉が真実であることの証明でした。


10年前の4月6日は、そんな風にして始まりました。


現在のようにインターネットも普及してないこともあり、
4月6日の時点でカートの自殺を知る人間はほぼ皆無でした。
学校では当然誰も知らないし、誰に言っても信じてくれない。
とにかく情報がなかったので、ロッキング・オンに電話したりもしました。
できればぼくの間違いであって欲しい、そんな風に思いながら。


しかし、真実はみなさん通りご存知の通り。


ぼくの音楽体験の中でカートの自殺という事件は、
唯一リアルタイムで体験した音楽的“歴史”でした。
ジョンレノンの射殺も、ジミヘンの死も、コルトレーンの死も。
ぼくにとっては、まるで映画の1シーンのような
まったくリアリティのない出来事でした。


「ぜんぶ、オレが悪かったよ」


世界中すべての人間の期待に応えようとして、
自らの頭をショットガンで吹き飛ばした男、カート・コバーン
彼の作った最後の作品となるこの「In utero」は、
カート・コバーンの強烈なキャラクターを差し引いても
あまりあるほど強烈な傑作でした。


かつてないほどエモーショナルなのに、
メロディーはどこかユニーク。
本当の意味でONE&ONLYな作品です。
収録された曲はすべて名曲。
全音楽ファンに聴いて欲しい。


rekoba的名盤100選、本来の流れであれば、
今日はまったく別の作品を紹介しようと思ってましたが、
この作品がやはり今日という日に紹介するのに相応しいと思い、
予定を変更して掲載しました。


当時のぼくは、音楽の“歴史”がこんな悲しいものであるならば、
そんなものはライナーノーツの中だけ存在してればいいんだ、
そんな風に思いました。