rekoba的名盤100選:4枚目
Nirvana/In utero(1993、ASIN:B000065EA7)
10年前の今日、ぼくは朝の6時から叩き起こされました。
当時高校3年だったぼくの起床時間は7時。
つまり、通常より1時間も早く起こされたワケです。
おまけにその日は高校の始業式。もちろん気分は最悪。
そして、母親が発した次の言葉を聞いて、
最悪を通り越して絶望的な気分になりました。
「カート・コバーンって人、死んだわよ」
はじめは何かの間違いかと思いましたが、
CNNニュースが延々と流し続ける「All Apologies」のPVは、
母親の言葉が真実であることの証明でした。
10年前の4月6日は、そんな風にして始まりました。
現在のようにインターネットも普及してないこともあり、
4月6日の時点でカートの自殺を知る人間はほぼ皆無でした。
学校では当然誰も知らないし、誰に言っても信じてくれない。
とにかく情報がなかったので、ロッキング・オンに電話したりもしました。
できればぼくの間違いであって欲しい、そんな風に思いながら。
しかし、真実はみなさん通りご存知の通り。
ぼくの音楽体験の中でカートの自殺という事件は、
唯一リアルタイムで体験した音楽的“歴史”でした。
ジョンレノンの射殺も、ジミヘンの死も、コルトレーンの死も。
ぼくにとっては、まるで映画の1シーンのような
まったくリアリティのない出来事でした。
「ぜんぶ、オレが悪かったよ」
世界中すべての人間の期待に応えようとして、
自らの頭をショットガンで吹き飛ばした男、カート・コバーン。
彼の作った最後の作品となるこの「In utero」は、
カート・コバーンの強烈なキャラクターを差し引いても
あまりあるほど強烈な傑作でした。
かつてないほどエモーショナルなのに、
メロディーはどこかユニーク。
本当の意味でONE&ONLYな作品です。
収録された曲はすべて名曲。
全音楽ファンに聴いて欲しい。
rekoba的名盤100選、本来の流れであれば、
今日はまったく別の作品を紹介しようと思ってましたが、
この作品がやはり今日という日に紹介するのに相応しいと思い、
予定を変更して掲載しました。
当時のぼくは、音楽の“歴史”がこんな悲しいものであるならば、
そんなものはライナーノーツの中だけ存在してればいいんだ、
そんな風に思いました。