2004-09-22から1日間の記事一覧

古川日出男 / 沈黙 -Rookow-

仏が入滅した日より二四八八年目の八月、大瀧鹿爾はビルマからシャムに入った。さらさらという葉ずれの音だけが国境にはあった。かつて受けた訓練のおかげで食うには困らない。山岳部に暮らしていたのはシナ・チベット系の人びとで、ことばも通じた。森には…