rekoba的名盤100選:3枚目

rekoba2004-03-31


radio head/Pablo Honey(1993、ASIN:B000002UR7


本当は彼らの2nd「the bends」のみ紹介しようと思ったんですが、
やはり、このアルバムもぼくの音楽体験を語るうえでは欠かせません。
この1993年という年は、ぼくの音楽的な幅を広げた年でもありました。
ロッキングオンクロスビートをそれこそ隅から隅まで読み込んで、
めぼしいアーティストあらばチェックする、という感じでした。


このレディオヘッドという人たちは
いわゆるイギリス的なダメ男メンタリティーを代表するバンドでした。
なにせデビュー曲が“Creep(ゴミ虫とか、足の爪の黒いゴミ)”ですからね。
とにかく、「オレはなんてダメなんだ〜」と主張するのが流行っていたんです。
まぁ、当時のイギリスは失業率(たしか10%超え)がメッチャ高くて、
幸せになるにはロックスターになるか、サッカー選手になるしかない、
といわれるほど暗〜い世相でした(ちょうどいまの日本みたいな感じ)。
そんな状況から出てきた連中ですから、スェードにしろ、彼らにしろ、
ブリットポップの若者たちは総じて暗かったんです。


で、アメリカに目を向けると、
ニルヴァーナの台頭でグランジブームが到来してて、
こちらはこちらでしごく暗かった。
レディオヘッドニルヴァーナに対する
イギリスの回答と言われたバンドとして紹介されました。
つまり、レディオヘッドは暗いブリットポップ勢の中でも
ひときわ暗いメンタリティーを持ったバンドでした。


まぁ、ぼくはというと、16歳という多感な年頃だったので、
なんとなく深刻な彼らとすっかり共感してしまったわけです。
つまり、ぼくもたいそう暗かったんですな。
いや、暗いのがカッコいいと思ってる、勘違い坊やでした。


でも、レディオヘッドはホントにカッコよかった。
掃いて捨てるほどいろんなバンドが出てきては消え、
非常に新陳代謝の激しいイギリスの音楽シーンの中で
未だに絶大な評価を受けていることが、その証だと思います。


彼らが生き残った大きな理由として挙げられるのは、
ギターロックに対するアプローチの仕方が凡百のバンドとは異なり、
非常にユニークな音楽を追求しながら、
優れた楽曲をクリエイトしていたということだと思います。
このパブロハニーは、彼らのユニークな音楽の原型です。
ギターノイズを効果的に配したこの音楽は、
次作「the bends」で結実することになります。


「the bends」については、また別の機会にお話したいと思います。