Trip hopについて大いに語る。3

rekoba2004-02-04


それがWild bunchです。
Nellee Hooper、DJ Miloセレクター(DJ)で
3D、Daddy G、Willy WeeがMC。
まだティーンエイジャーだったMashroomも、
そこで自らのスクラッチテクニックを披露していたそうです。


彼らは、クロスオーバーな選曲でクラウドを熱狂させる
サウンドシステム*1でした。
しかし、Wild Bunch名義で残された作品は1枚の12inchシングルのみ。
Wild Bunchの作品の場合、当時のことを知らない
ぼくなんかが聴くと?感が強いのですが、
当時はかなり衝撃的だったらしいのです。


Wild BunchのメンバーだったDaddy G、3D、Mashroom。
彼らはダブ、レゲエをベースにヒップホップの方法論を用いて、
TechnoやJazz、Soul、Funkなどをmixすることで、
Wild Bunchのサウンドをさらに洗練させることに成功します。
それが、Massive Attackの1stアルバムである「Blue Lines」です。
プロデューサーにWild Bunchの盟友Nellee Hooperを迎え、
ゲストラッパーで、まだティーンエイジャーのTrickyも参加しています。


Wild Bunchで蒔かれたTrip hopの種は、
「Blue lines」でひとつのカタチになりました。
その音楽性を深化させるのに、彼らは長い歳月を要します。
そして、5年後、彼らはTrip hopサウンドの金字塔とも言える作品
Protection」を完成させたのです。


この「Protection」という作品が発表されたのは1995年。
前年の94年には盟友Portise Headが、「Dummy」を発表。
そのダークでシネマティックなダウンビートは、
Trip hopと呼ばれシーンに大きな衝撃を与えました。
影響を受けたさまざまなアーティストが
ただ暗いだけのTrip hopサウンドを作り、
シーンはまさにTrip hop一色。
今から考えると当時のダンスミュージックは、
たいそう暗かったんだなぁなんて思います。


そんな中で発表されたMassive attackの新作「Protection」。
あまりに新作が発表されないため、一部では解散説も流れていましたが、
このアルバムの完成度はそんな批判をうち消すどころか、
彼らの存在の大きさを世に知らしめるものとなりました。


Everything but the girlのトレイシーソーン、
Nicolet、Tricky、ホレスアンディなど
錚々たるメンツをゲストヴォーカルに迎え、
プロデューサーには盟友Nellee Hooperを起用。


前述のアブストラクト的なアプローチ、
Portis headのシネマティックな表現、
そして、空間的なダブレゲエの音響処理。


すべてをバランスよく配合したそのサウンドは、
前作「Blue lines」からさらに進化して深化しました。
いうなれば、名前だけがひとり歩きしていたTrip hopに
実体を与えたかのようなエレガントでディープなサウンド
一部では「メランコリックすぎる」という意見もあるそうなのですが、
ぼくはこの作品がMassive Attackの最高傑作だと思います。


【つづく】

*1:レゲエ版のDJチームと考えてください