ミラノダービー


最悪。


いや、何が最悪って、先週の一昨日のミラノダービー
なんなんですか、あの負け方は。
ミランに1-3の完敗ですよ。


確かに、ミランは凄かった。
カカー、セードルフピルロガットゥーゾ
ひとつのユニットとして機能するこの4人が、
インテルの中盤を完全に支配してた。


でも、先発したエムレザネッティ、キリ、アンディといった
インテルの中盤の選手の出来もそれほど悪くなかったと思う。
なのにクーペル*1は前半のあの段階*2
右サイドを攻撃的なアンディに代わって、守備的なヘルヴェグを投入。
それまでサイドバックを務めていたサネッティを攻撃的なポジションに変更。
ヘルヴェグは右サイドバックに入り、守備面はかなり強化された。
たしかに、ヘルヴェグはディフェンシブな選手だが攻撃参加も頻繁に行う。
しかし、アンディの攻撃力、想像力に比べるとやはり物足りなさを感じる。
つまり、選手交代を通じて、ピッチ上の選手達にメッセージを出したのだ。


これが、今回のミラノダービーのポイントだったと思う。


別に、守備重視の戦術を布いたということが問題なのではない。
一番の問題は指揮官の動揺を選手交代を通じて
ピッチ上の選手達に伝染させてしまった、という一点につきる。


どういうことかというと、
それまでは、ミランに多少の優位は奪われていたものの、
チーム全体としてのバランスはさほど悪くなかった。
もともとクーペルの基本戦術は“しっかり守ってカウンター”。
大勝したアーセナル戦だって前半なかばまではガンガン攻め込まれてた。
だけど、数少ないチャンスを確実に決め試合を優位に進めることができた。
だから、ピッチにいる選手達としても、
別に自分たちがそれほど劣勢だとは思ってなかったはずだと思う。
チャンスをものにできれば、状況は如何ようにでも変えることができる、と。
しかし、クーペルは前半の早い段階で攻撃的なコマを下げ守備的な選手を投入する。


選手たちは確実に混乱したはずだと思う。
この状況ではマズイのか?自分たちは劣勢なのか?
しかし、実際は別にそれほどマズイ状況でもなかったとぼくは思う。
(決してよいサッカーをしていたわけではないのだけど…)
だが、クーペルの目にそうは映らなかった。
右サイドのわずかな綻びは、いずれチーム全体の崩壊に繋がる。
クーペルの懸念は不安になり、先の交代へといたったわけである。


これまでミラノダービーで一度も勝ったことがないクーペルは、
この一戦に神経質になりすぎていたのではないだろうか。
そのナーバスな精神状態がチームに混乱をもたらした。


さらに悪いことに、この交代の直後、
ピルロフリーキックインザーギに当たってコースが変わり
ミランにとってはラッキーな、
インテルにとっては最悪なゴールが生まれてしまう。


このゴールによって、インテルの組織はさらに混乱し、崩壊する。


いやー、でもね、マイッタよ、正直。
完敗だもん、だって。
別に負け惜しみじゃないけど、
ピルロフリーキックが決まらなければ、
試合はああいうカタチに進まなかったと思う。


サッカーっていうのは、マッチ棒で作った塔みたいなもんで、
緻密に組み上げたはずのシステムでもちょっとしたことで崩壊しちゃう
(それがサッカーの魅力のひとつでもあったりするんだけど)。
だから、前回紹介したアーセナル戦も、
最初のフリオ・クルスのゴールがなければ、
あんな勝ち方はできなかったはず。


まぁ、今回の敗戦の決定的な理由は神経質になりすぎたクーペル
軟弱な采配にあるわけだけど、決定機を決めなかったビエリにも当然責任はある。
しかし、ビエリは大舞台に弱い。
決定的な試合で点取ったの見たことない。
たしかに世界最強のFWだから、ハンパないマークをされてるんだろうけど、
大舞台で決めないと……


だから、はじめっから、マルティンス使っときゃ良かったんだよ。
あいつは大舞台に異常に強いんだから。
今回の1ゴールだってマルティンスのゴールだし。
そもそも彼は昨シーズンのチャンピオンズリーグ
ミラノダービーでも点取ってるンだから、普通スタメンで使うでしょ。


マルティンスをスタメンから外して、
守備もしっかりするカーロンを入れてる時点で、嫌な予感がしたんだよ。
手堅く行き過ぎ。


今まで、解説者や雑誌とかで何を言われようとも
クーペルを支持してきたけど、今回の敗戦はガマンならないよ。
次のミスとか言ってないで、即解任してほしい。


次の監督は、デル・ボスケ*3ザッケローニ*4マンチーニ*5
カペッロ*6あたりから選ばれるんだろうなぁ。
個人的にはカペッロだなぁ。
で、ついで、キブも連れてきて欲しい。
ザックもありかも。デル・ボスケも良いけど、イタリアでの監督経験ないし。
マンチーニも、インテルみたいなクセのあるチームを率いるのはまだ早いかな。


とりあえず、インテルの今シーズンは終了いたしました。
それでも応援するんだけどさ。
ぼくっていじましい。

*1:現在のインテルの監督。アルゼンチン人。過去にヴァレンシアを率い、2年連続チャンピオンズリーグのファイナルまで勝ち上がった。逆に言えば、2年連続で決勝で負けたということ。

*2:たしか、前半の半ばぐらいだと思う。通常、選手交代は後半に行うことが多い。前半で変える場合、ケガか、よっぽどその選手の動きが悪いとき。ちなみにアンディはそんなに悪い動きではなかった。

*3:元レアルの監督。昨シーズン、ボロボロだったチームを立て直し、見事リーグ制覇を成し遂げるも、不細工だから、という理由で解雇される。本当の名将。

*4:ミランの監督。就任1年目でいきなりリーグ制覇を成し遂げるも、2年目にあえなく解雇。現在は解説者などアルバイト中。ちなみに彼はインテリスタ

*5:ラツィオ監督。現役時代は、バッジョとならんでイタリアの誇る最高のファンジスタだった。「名選手、名監督にあらず」、ということわざが、まったく当てはまらない凄い人。

*6:現ローマ監督。ミラン、レアル、ローマでそれぞれリーグ優勝を経験。現在監督をしているローマにいったては、52年ぶりのリーグ優勝を実現させた。真の優勝請負人。